
前提として、オウンドメディアははっきりとした目的を持って運営してこそ価値があります。
またWebメディア・コラムと企業の公式サイトは、「何を目的とするか」によって区別でき、公式サイトは「企業情報の公開」や「自社ブランディング」・「採用活動」、オウンドメディアは「マーケティング」を目的としています。
ただし飲食店などは、Instagramだけで情報発信しているなど、公式サイトとオウンドメディアが一体化している場合があります。
ここでは、現在運営されているWebマガジンやブログなどの事例を取り上げて、オウンドメディアを運営する目的やメリット、運営のポイントを分かりやすく紹介します。
目次
オウンドメディアを運用するメリット
オウンドメディアを活用することで幅広いユーザーに接触することができます。例えば、オウンドメディアに掲載する記事やコラムへSEO対策(検索エンジンの検索上位に表示させる)を行うことで、検索サイトからのユーザーの流入を獲得し、自社の知名度上昇や売上に繋がるなどのメリットもあります。
1.製品や商品に興味を持ってもらい、接触の機会を増やす
自信を持っておススメできる製品やサービスでも、潜在顧客が自社サイトへ訪れる導線がないと、なかなか成約に結びつかない場合があります。
多くの企業は、潜在顧客にアプローチするためGoogle広告やSNS広告へ出稿します。ですが運用には知識と分析力が必要とされ、競合が強いと広告費がかさむ等のデメリットがあります。
Web広告以外の未来の顧客へのアプローチ方法として、オウンドメディアを運営しておくのは効果的です。なぜならメディア自体が資産となり、将来的にはメディアの流入から成約に持っていける状況になるため、Web広告の必要性が低くなる可能性があります。
2.自社のファンになってもらうため
人の気持ちを動かすのは人です。オウンドメディアで製品やサービスにかける人の「思い」を伝えることで、商品への興味を持ってもらえる可能性があります。
興味を持った見込み顧客(商品に興味がある・購入を検討している)が→顧客(商品を購入)→優良顧客(リピーター)へと育つための導線ができて、ユーザーの囲い込みが可能です。
3.アフィリエイトやSSPでの収益化
オウンドメディアを運用して安定的にPV数が稼げるようになれば、「SSP(広告枠販売の効率化・収益最大化を図るためのシステム)」や「アフィリエイト」などを活用して広告収入を得ることが可能です。
ただし、収益化ができるのはオウンドメディアの中でも限られており、扱う広告もブランドイメージに添ったものである必要があります。
オウンドメディアの実態と活用事例、運用ポイント
オウンドメディアを立ち上げてもすぐにPVや成約(コンバージョン)に結びつきません。特に「情報発信サイト」の場合は、検索上位に浮上するまで最低1年程度かかるため、途中で運用を停止してしまうケースもあります。オウンドメディアの価値は長期間運用してこそ活用されるのです。
実際にサイトへ訪れる潜在顧客は、製品やサービスに興味のないところから始まり、サイト内のコンテンツに触れることで時間をかけて関係を形成していくため、顧客化してからのリピート率や口コミ効果は高いと考えられます。
参考:BtoBマーケティング担当者の6割がオウンドメディアに対して前向き、3割が開始から1年で成果を実感したと回答
説明を聞くだけでは、なじみのない方は理解しづらいかもしれません。そこで、弊社オウンドメディア「ウェビナビ」がどうやってウェブ検索からの流入でリードを獲得する導線を設計しているのかを参考に、オウンドメディアの活用と成功するための運営ポイントを紹介します。
オウンドメディア「ウェビナビ」の事例から見る活用法と運営ポイント
弊社では、ライブコマースアプリ「CHANCE by ウェビナビ」とオウンドメディア「ウェビナビ」を運営しています。ウェビナビでは、ホワイトペーパーやデモライブなどの「申込みフォーム」からの顧客情報の獲得を目的としており、獲得のためライブコマース・ライブ配信のお役立ち情報や事例を発信しています。
弊社の場合ですが、流入はウェブ検索からがほとんどです。例えばウェブ検索で「ライブ配信稼ぐ」と検索した方は、以下のコラムを訪れます。

コラムを読み終われば、ページ内にある他コラムからサイトを周回してもらいます。そして各コラム・右下バナー広告に設置してあるフォームからリード獲得、その後はメルマガなどを通して弊社のサービスへの理解を深めてもらい、成約を狙うという流れです。
成約までに重要なことは、まず取っ掛かりとして自社のターゲットに近いユーザーへサイトに訪れてもらうことと考えています。
また、ターゲットが自社のオウンドメディアへ継続的に流入するためには、以下のポイントが必要だと考えています。
・全掲載コンテンツを「成約」に向かって総合的・一体的に制作する
・定期的なコンテンツの投稿・修正
・ターゲットの流入に近い「キーワード」から対策していく
サイト内のコンテンツは、最終的にコンバージョンしたい製品・商品にたどり着くように、自社のペルソナに近いキーワードから制作していきます。また検索のボリュームが多いからといって、自社に関係なさそうなコラムの投稿を続けると、Googleからの評価が得られない場合があるので注意しています。
サイト内のコンテンツは、コンテンツの質や外部変化からの順位変動に対応するために、定点観測→修正が大前提です。コラムのアクセス分析やGoogleの順位などを参考に、PDCAを回すことを心がけています。
また新規コラムを作成するときは、ターゲット流入に近い「キーワード」から対策していくことがポイントと考えています。
【5ステップ】オウンドメディアの作り方
実際にオウンドメディアを立ち上げて運営するときは、なにから始めればいいのか分からなくなることも多いと思います。工程を5ステップにまとめたので、参考にしてみてください。
①ペルソナ(読み手・受け手)の設定
まず「ペルソナ」を設定してからサイト名・サイトコンセプトを決めます。
ペルソナを設定するためには、検索エンジンのキーワードサジェストや関連キーワード、Yahoo!知恵袋などの掲示板サイトを見て、「誰が・何に困っているのか」を明確にします。
例えば、商品開発をしている企業の「顧客ニーズに基づく新商品を開発したい」けど「ユーザーに直接意見を聞ける場所がない」などです。
②コンセプトの設計
ペルソナが設定できたら、次はコンセプトの設計を行います。
まず「誰(ペルソナ)に、『何』を提供するオウンドメディア」の『何』の部分を埋めます。『何』を具体的にすることで、どんなサービス・機能・コンテンツが必要なオウンドメディアがいいのか、方向性が見えてきます。
例えば、先ほどの「商品開発をしている企業」のメインターゲットを「乳幼児を育児中の母親」とする場合「『乳幼児を育児中の母親の悩み』を集めたメディアサイト」をコンセプトするなどです。
③カスタマージャーニーの設計
コンセプト設計ができたら、決定したペルソナに『●●(価値)』を提供するため、ペルソナがサービス・製品のニーズ確認・発見・検討・購入・利用・リピートに至るまでのカスタマージャーニーを作成します。
先ほどの例を用いると、ペルソナは「乳幼児を育児中の母親向けに商品開発をしている企業」となり、一例として以下のようなカスタマージャーニーが描けるかもしれません。
①ニーズ確認
⇒「乳幼児を育児中の母親の悩みが聞ける場所が欲しい」
②発見
⇒Google検索でいくつかのキーワードを入力「育児中 悩み」「乳幼児母親悩み」
③検討
⇒検索でヒットしたメディアサイトのうち「紹介されている母親の悩みの数の多さ」や「自社のターゲットに合う属性の母親の悩みがあるか」などを比較・検討する
④購入(成約)
⇒メルマガ登録・会員登録をする
⑤利用
⇒実際に自社の商品開発の場面で、メディアサイトに掲載されている悩みを取り上げて企画・提案する
⑥リピート
⇒ブックマークやメルマガなどから日常的に最新情報をキャッチしアイデアの収集につなげる
ペルソナが取る行動を段階ごとに書き出すことで、各段階で必要な施策が整理できます。
カスタマージャーニーを制作すれば、運用段階で迷うことが少なく、オウンドメディアを成長させることができます。
④配信形態の選定と体制づくり
いくら良いコンテンツを作っても、購入に至るまでに離脱するユーザーはいます。
カスタマージャーニーの想定を参考にファネル(認知→興味・関心→比較・検討→購入)に沿って、成約するには毎月どれくらいの本数で運用するか、どういう形態で配信していくかを設計するとよいでしょう。
狭義の意味でのオウンドメディアはWebサイトのことを指しますが、SNSやライブ配信も情報発信ツールのひとつです。
例えばファッションブランドの場合、文字ベースのWebサイトを作成するより、写真や動画を投稿できるInstagramやYouTube・TikTokを使用した方が商品の購入に繋がる可能性があります。
配信形態が確定したら、サイト・アカウントの作成とコンテンツ投稿を同時に開始します。オウンドメディアの立ち上げは1名〜3名の少人数の場合が多いですが、特にWebサイト開発が必要な場合は、コンテンツ制作との「待ち・空き時間」ができないように、スケジュールを合せて作ることがオススメです。
⑤コンテンツ制作とPDCA
コンテンツを定期的にアップできるような状態になれば、効果測定とPDCAを回す段階へ進みます。
「Google Analytics」や「Google Search Console」等のアクセス解析ツールでオーガニックや流入キーワードを確認、SEOツールやGoogle検索などで検索順位と不足情報などを把握、KPI・KGIを設定して修正を重ねることが大切です。
【まとめ】オウンドメディアの運用ポイントを押さえて、成約(コンバージョン)へ結び付けよう
オウンドメディアは、ただ運用しているだけでは商品・サービスの成約に結びつきません。しかし適切なサイトコンセプトやファネルを用意しPDCAを回していくと効果を発揮します。また継続的に運用すると、コンテンツ自体が財産になるのが大きなポイントです。
また顧客に直接・深く接触できるオウンドメディアのひとつとして、ライブ配信も活用できます。毎日配信を続けることで固定の視聴者を獲得できること、視聴者とのコメントでのやり取りでユーザーニーズを発見できることから、マーケティングという意味でも効果的でしょう。
オウンドメディアの運用ポイントを押さえて、リードやコンバージョンを取っていきましょう!