『ライブコマースがマンネリ化している……新しい企画に挑戦したい!』
『自社のコアファンを増やすために、ライブ配信で工夫するコツは?』

そんな悩みがある方に対策を提案。この記事では、配信者と視聴者が一緒になって楽しめるライブ配信を行うポイントや、視聴者参加型のライブ配信が提供できる新しい価値を深堀していきます。

ライブ配信の新たな可能性!視聴者参加型の企画とは?

『視聴者参加型』と聞くと、まずテレビ番組をイメージするかもしれません。テレビリモコンのボタンを押してクイズや懸賞に参加できるテレビ番組を見たことはありませんか?家でテレビを見ながらデータを通じて番組に参加する『視聴者参加型番組』の一種です。視聴者参加型のテレビ番組は、大きく分けて2種類あります。

  • のど自慢大会やダンスバトルなど、視聴者が参加者として出演する
  • アンケートや懸賞など、視聴者はリモコンのボタンで参加する

以前、『ドラマ最終回のゆくえを視聴者投票で決める』というドラマを見たことがあります。男女の三角関係を描いたストーリーで、『主役の女性は、最終的にどちらの男性を選ぶのか?』と、毎週楽しみにしていました。最終回直前の放送で『最終回の行方は視聴者の投票で決まる』というイベントが開催されることになり驚きました。

『視聴者である私の意見がドラマの結末に反映されるかもしれない』と緊張しながら投票したものです。結果は私の投票した通りだったので、『私の意見がほんの少しでも反映されたのかもしれない』と思い、ちょっと嬉しかったのを覚えています。

投票で視聴者に参加してもらうという形も、視聴者参加型の一種といえるでしょう。投票という意見を番組に送ることで『一緒に番組を作っている』という気持ちになる点が、テレビ番組に親しみやすくなる一つの理由ではないかなと思いました。

視聴者参加型の企画は、テレビ番組だけではなくライブ配信の世界でも活用されています。ライブ配信中に視聴者からリクエストを聞いたり、視聴者とコラボ配信したりと、配信者だけでなく視聴者も一緒に盛り上がれるのが参加型企画ライブ配信のいいところ。

ライブ配信と聞くと歌配信、雑談配信とエンターテイメント性の高いものがイメージしやすいですが、ライブ配信中に商品を販売するライブコマースという方法も広がっています。ライブコマースは、販売者が個人・企業にかかわらず、どこにいてもリアルタイムで視聴者に商品を販売できるのがメリット。ライブコマースの特徴を生かし、視聴者参加型のライブコマースを行っている企業もあります。

今回は実際のライブコマースを例に、視聴者に参加してもらうライブコマースのメリットや活用方法を紹介していきます。ライブコマースの面白いネタを考えている、何か新しい企画をやってみたいと思っている方はぜひ参考にしてください。

視聴者参加型ライブ配信のメリット

まず、実際の参加型のライブコマースを紹介する前に、「参加型のライブ配信」のメリットについて紹介します。ここで紹介するメリットは、ライブ配信をする「配信者側」のメリットについてです。

参加型ライブ配信のメリット1.普段できない新しい体験を提供できる

視聴者参加型ライブ配信の大きな特徴は、新しい体験を提供できることです。例えば、曲のリクエストができる視聴者参加型ライブは、視聴者にコメントで曲をリクエストしてもらうという方法や、アンケート機能を使ってどの曲がいいか意見を聞くという方法があります。

あらかじめ配信者が決めた曲を提供するだけではなく、視聴者のリクエストによって曲を決めるという方法を取り入れることで、視聴者は、配信者と一緒にライブ配信を作っているという実感を持つことができます。

ライブ配信というとどうしても配信者側の一方通行な発信内容になりがちですが、コメントやアンケート機能を活用して視聴者と配信者双方向のコミュニケーションを取ることができ、視聴者と配信者が深い関わりが持てるようになるでしょう。

参加型ライブ配信のメリット2.コアファン化に繋げられる

ライブ配信において、配信者のファンになってもらうことはとても重要です。特に商品販売を行うライブコマースの場合は、配信者だけではなく商品を好きになってもらう、ファンになってもらうことが重要です。ライブコマースを行っている企業のファンが増えれば、特定の商品だけでなく他の商品にも興味を持ってもらうことができ、応援してもらえるようになるからです。

心から応援してくれるコアファンを増やすためには、商品や配信者が魅力的であること、そして視聴者を巻き込んだ楽しいライブ配信であるかが大切。視聴者を巻きこむという視点でみると、視聴者参加型のライブ配信はぴったりです。

例えば、これから紹介する商品開発の参加型ライブ配信の場合は、商品開発の初期段階から視聴者が深く関わっています。ライブ配信に参加しているうちに、商品や企業への愛着が湧いてきて、より濃いファンを増やすきっかけになるのではないでしょうか。これが、視聴者参加型ライブがファンを増やしやすい理由です。

ライブ配信で視聴者と一緒になって新商品開発に取り組むことで、コアファンと共に企業も成長していけるようになるのではないかと考えます。
下記の記事は、化粧品を取り扱うFracoraが行っているライブ配信について紹介しています。Fracoraのライブ配信では、商品の販売や商品情報を発信しています。ライブ配信を行う中で視聴者の意見や反応(リアクション)非常に大事にしているFracoraの取り組みもご注目です。ぜひこちらもご覧ください。詳しくは画像をクリック⇩

参加型ライブ配信のメリット3.視聴者のニーズをくみ取れる

例えば、次に紹介する老舗和菓子屋では、視聴者と一緒に新商品を開発するという企画をライブ配信で行いました。視聴者参加型のライブ配信では、消費者である視聴者のリアルな意見を聞きながら商品開発を行えるというメリットがあります。最初から『視聴者と共に商品を作る』という商品であれば、視聴者の声を商品に反映しやすくなるため、消費者のニーズにぴったり合った商品開発が可能になります。

視聴者参加型ライブ配信でいちから作り上げた新商品が販売されるとなると、自分が企画から作り上げる過程にかかわってきたという思い入れから、商品を長く応援してくれるようになる可能性もあります。

笑顔になれちゃう和菓子を作ろう!老舗和菓子屋の視聴者参加型ライブ配信とは?

視聴者参加型ライブ配信のメリットがわかったところで、実際に実施された視聴者参加型のライブコマースの例を見てみましょう。今回視聴したのは、老舗和菓子屋が視聴者と一緒に商品開発をするという企画のライブ配信。ライブ配信で新商品を作るというのは、今までにない新しい試みですね!

ライブ配信を行ったのは、滋賀県の老舗和菓子店「菓匠禄兵衛」4代目代表取締役 居川信彦さんとお節介ヨーコの名で親しまれるライブコマーサーの熊谷要子さん。滋賀の素材、伝統、地域性にこだわり和菓子の新しい可能性を探る老舗和菓子屋が作る『笑顔になれちゃう和菓子』を一緒に考えるというコンセプトです。生産者と消費者という枠を超え、普段は関わることができない新商品開発のリアルな現場にライブ配信の力で参加できるという試みでした。

新商品に使うのは、ワインを絞るときに余るぶどうの皮『ワインパミス』。ワインパミスはワインの醸造過程で出た種や皮の搾りかすを粉末にしたもので、ポリフェノールやアントシアニンなどの豊富な栄養価から健康食品やお菓子に活用されています。『ぶどうで広がる和菓子の世界』をテーマに行われた今回のライブ配信は、ワインパミスを和菓子に活用するアイディアはないだろうかという提案から始まりました。

ぶどうといえばケーキやゼリーなど、洋菓子のイメージがあるかもしれませんが、『実は和菓子にも合うのではないか?新しいかけ合わせにチャレンジしたい』と居川さん。『ぶどうをヒントに、食べてみたい和菓子を募集します!』という声掛けから、多くのコメントが集まりました。

『ワインパミスの粉末はぶどうの味なの?どんな色?』といった質問から、『こんなお菓子はどう?』というアイディアまで、視聴者と配信者で大盛り上がり。新しい商品のタネが出来上がる瞬間に立ち立ち合えたような気がしました。

視聴者と作り上げる新商品企画ライブ配信の秘訣

菓匠禄兵衛新商品お菓子会議ライブ配信の様子

新商品企画ライブは、ナビゲーター役のヨーコさんと居川さんの仲の良い掛け合いも面白く、視聴者と配信者が一緒になって楽しめるライブとなりました。今回のライブ配信が盛り上がった秘訣はどこにあったのでしょうか?視聴者参加型ライブで面白さを感じられたポイントをまとめました。

どんな企画にする?ライブコンテンツとしての面白さ

まずは、ライブ配信がコンテンツとして面白いものでないと楽しめません。今回は、『配信者と視聴者で新しいお菓子を作ろう!』というコンセプトの視聴者参加型ライブ配信でした。

例えば、『あなたの欲しいお菓子は?』というアンケート形式だったり、『好きなお菓子について話そう!』というコミュニケーションメインのライブ配信だったなら、ここまで盛り上がらなかったのではないかと思います。『新しい商品をみんなで作る』という目的が明確だったのが良かったと感じました。

なぜなら、ゴールを決めて配信者と視聴者が一緒になって向かっていくというチームの連帯感がでていたからです。『視聴者の好きなお菓子を聞くライブ配信』というアンケート形式も、一種の視聴者参加型のライブ配信と言えるでしょう。アンケート結果は配信者側(企業側)の参考になるものであり、必ずしも視聴者の意見が商品に反映されるとは限りません。

しかし、新商品開発ライブ配信の場合は、視聴者に『新商品へのアイディアや意見をコメントする』という役割があります。商品開発をしていく中で、必ずしも自分の意見が反映されるとは限りませんが、配信者や視聴者同士がアイディアを出し合ってやりとりしながら商品が形になっていく過程を見ることができます。

さらに、一緒に一から作り上げるワクワク感や、意見を言い合う事で具体的なカタチになっていくようすも一緒に楽しむことができます。メンバーが一丸となって目標に向かっていくようすは、まるで文化祭前日や部活の試合前のような連帯感を感じられ、商品開発チームの一員になったような気持ちになりました。

視聴者をどんなふうに巻き込むか?コンセプトやストーリー性

「ただ新商品を一緒に作りましょう」というだけでは、視聴者を巻き込んで楽しいライブ配信にするのは難しいと思います。新商品には何が必要なのか?どんなコンセプトなのかなど、大筋が決まっていることが大切。今回であればワインパミスを使ってワインに合う和菓子を作るというテーマが明確に提示されていたからこそ、視聴者からのアイディアコメントが集まったのだと思います。

  • 何を使ってどんなテーマの商品を作るか?
  • できること・できないことを明確にする

以上の2点を先に視聴者に伝えておくと、コメントする側はイメージしやすくなるはずです。さらに、視聴者は和菓子に精通している訳ではないので、できる事とできないことを提示する必要があります。目標から逆算して、どんな商品を作るかを明確にするといいですね。

また、ライブコマースで商品を売るときに大切なのは商品のストーリー性です。なぜこの商品が出来上がったのか、どんな人に購入してほしいのか、背景を伝えてストーリーを共有することで、商品に対する親近感や興味を持ってもらいやすくなります。視聴者参加型企画は、まさに企画段階からインパクトのあるストーリーづけが可能。

『ワインに合う和菓子』よりも、『視聴者と和菓子屋が一緒に作ったワインに合う和菓子』のほうが、より買いたいと思えるのではないでしょうか?ストーリーがあると、商品を具体的にイメージしやすくなり、親近感がわきます。ライブコマースは実際に商品を手に取って購入することはできないため、視聴者が具体的に商品をイメージできるようわかりやすい説明やストーリー性が大切です。

こちらの記事には、商品を魅力的に紹介する方法として「視聴者にストーリーを共有する」について紹介しています。参考にご覧ください。詳細は画像をクリック⇩

配信者のトーク力やキャラクターの面白さ

ライブ配信では、配信者が魅力的であることも大切です。特に、視聴者参加型のライブ配信は、視聴者を巻き込んで一緒に盛り上がっていくことがポイント。そのためには、視聴者に参加したいと思ってもらえるような楽しい雰囲気のライブ配信にしていく工夫が必要です。

今回のライブ配信は、ヨーコさんと居川さんの対話形式で行われました。ヨーコさんが進行役となり、こういうのはどう?と進めていきます。和菓子の固定概念にとらわれないヨーコさんからは、大胆な発想が飛び出し、居川さんが驚くというシーンもありました。

居川さんは、ヨーコさんや視聴者のアイディアに対し、『ちょっと難しいなぁ』『でもこうしたらできるかも』というように和菓子作りのプロとしてアイディアを上手く形にまとめていました。例えば、『ぶどうバター大福はどう?』と言う案に対し、『フルーツの入ったお菓子は冷凍するとドリップが出るので冷凍しづらい。まわりのあんこが崩れちゃうんだよね。』と回答。

私は『ドリップってなんだろう?コーヒーのことかな?』と思い質問しようとコメントを打っていたのですが、その間にヨーコさんが『ドリップというのは、水分のことかな?べちゃべちゃになるってことかぁ。』と、視聴者が疑問に思いそうな専門用語を先回りして居川さんに聞いてくれたのです。

難しい言葉が出た時に視聴者の立場に立ってイメージしやすい言葉に言い換えたうえに、居川さんに質問で返してくれたのは、さすが人気ライブコマーサーの立ち居振る舞いだなと思いました。ヨーコさんは、常に視聴者と同じ目線で、視聴者代表のような、立ち位置を意識されていたのではないかと思います。

商品のことやお菓子のことを詳しく知っていたとしても、何も知らない視聴者に合わせてあえて初めて聞いたかのように居川さんに質問していました。また、視聴者同士がコメント内で盛り上がっているようすをライブ配信内でとりあげることで、ライブ全体に一体感が生まれさらに盛り上がるというシーンも。配信者同士だけでなく、視聴者同士のコミュニケーションも巻き込んでライブ配信を盛り上げていくのは、ヨーコさんならではのスキルでしょう。配信者は、色々なところに気を配り、視聴者目線を忘れないことが大切なのかもしれません。

アイディアの一つで出たぶどう大福については、『ぶどう自体が入っていなければ水分は出ないから、ぶどう餡にしてみるのも1つの方法!』と居川さん。できることとできないことがあるという前提をふまえたうえで話し合い、さらにいいものを作ろうという気持ちが伝わってきます。アイディアに対してそれはできないと言うのは簡単です。でも、こうすればできるよという案をプロの目線で聞けるというのはなかなかない機会で、とても勉強になりました。

『老舗和菓子屋の4代目代表』と聞くと、もっと硬いちょっと強そうな人というイメージを持っていたのですが、居川さんは物腰が柔らかく、親しみやすいキャラクター。アイディアが一通り出揃いライブ配信のまとめに入る際、餡子とアイディアの案をかけて『和菓子屋だけに、いい案(餡)が出ましたね!』と一言。

柔らかな雰囲気とクスっと笑わせるセンスを持ち合わせた居川さんのキャラクターとヨーコさんの掛け合いも、今回のライブ配信の盛り上がりポイントの一つなのではないでしょうか。

ライブ配信を盛り上げる巻き込み力とは、配信者のスキルやキャラクターも大切だなと改めて実感しました。ライブコマースで視聴者を巻き込む方法や応援されるライブコマーサーのポイントについて詳しくは以下のコラムも参考にしてください。詳しくは画像をクリック⇩

視聴者参加型ライブ配信の可能性

視聴者参加型ライブのメリットや実際のライブコマースの事例から成功のヒントを紐といてきました。最後に、視聴者に参加してもらう参加型ライブ配信の可能性を考察します。

視聴者参加型ライブは、視聴者側にも配信者側にも大きな可能性を秘めていると思います。

配信者側は、視聴者と近い距離で関わることができ、コアファンを育成できます。また、顕在的ニーズにもアクション出来るので、新たな商品開発にも役立つはずです。

コメントをしながらライブ配信に参加してくれる視聴者が多ければ多いほど、アイディアは豊富に出てくるでしょう。企業は、視聴者の生の声を商品開発に活用するだけでなく、企業の全体的なイメージや視聴者のニーズを聞くことができます。

視聴者側は、コミュニケーションを楽しみながら、人気コンテンツに初期から関わることができます。企業や商品を応援したいという思いを他の視聴者と共有できるので、新しいコミュニケーションが生まれることもあるでしょう。今回のような新商品開発を行うライブ配信であれば、一から自分の意見を出して商品を作り上げる楽しさ、企画者と消費者みんなで作り上げる楽しさという点に可能性を感じます。

実際に新商品開発和菓子ライブに参加してみると、こんな商品が欲しいなぁ~と明確なビジョンがあったわけでもないのに、アイディアが出てきました。ぶどうと和菓子の組み合わせといえば羊羹くらいしか思い浮かばなかった私ですが、『ワインに合うあまじょっぱいおつまみ的な和菓子もいいのでは?』と思えてきました。

配信者のアイディアや他の人のコメントを見ているうちに、だんだん自分の中でイメージが湧いてきて、アイディアとして形になったようです。コミュニケーションを取るなかで、出てくるアイディアもあるのですね。

ライブ配信がマンネリ化している、消費者のダイレクトな意見をもっと聞きたいと考えている企業には、視聴者参加型ライブにチャレンジしてみることをおすすめします。

まとめ

ライブ配信は視聴者を巻き込んで、一緒に盛り上げるのがコツです。さらに、視聴者参加型のライブを行えば、ファンを増やし商品に愛着を持ってくれる方が増えるでしょう。

『一緒に盛り上がる』をポイントに新しい商品を開発していくことは、視聴者と配信者双方にメリットがあります。

  • 視聴者のニーズにあった商品を開発できる
  • 消費者がほしいと思える理想の商品に近いものができる

視聴者参加型のライブ配信で、どんな商品が世に出ていくのでしょうか。まだ見ぬ新しい商品にワクワクしますね。

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