株式会社ONPA JAPANはライブコマースのプラットフォーム「ONPAMALL」などを運営する企業。これまでに「ONPAMALL」を利用したユーザーは、100万人(2022年8月取材時点)を突破しており、出店企業、視聴者の両方から高い評価を得ています。こうした躍進を支える背景には、担当者の熱い思いや参入企業へ今まで経験や技術を提供してライブコマースをサポートする体制がありました。

今回は、株式会社ONPA JAPAN事業推進統括担当の寺前大輔さんと、広報担当の脇谷ひかるさんに、その参入企業がライブコマースで成功するために必要なことや成功する企業の共通点、ONPA JAPANのライブコマース業界に対する想いを伺いました。

写真左 : 脇谷 ひかる さん(広報担当) / 写真右 : 寺前大輔 さん(事業推進統括担当)
株式会社ONPA JAPAN取材 2022年8月

まずはライブコマースで商品を1つ購入してもらうことから始まる

ECサイトで購入したい商品を見ても、使用方法や欲しいかどうかが分からない時があるのではないかと思います。オンライン上でライブ配信をすることで、お客様の疑問やお悩みにリアルタイムに対応でき、さらにコメントのやり取りや質問などでも相互コミュニケーションが行えるのがライブコマースというコンテンツ。LUSHや資生堂もライブコマースを行うなど、参入する企業は増えてきています。

今回取材した株式会社ONPA JAPANも「ONPAMALL」というコマースが出来るサイトを運営しています。「ONPAMALL」の大きなメリットの1つは、手厚いサポートを受けられること。ONPA JAPANには、これまでに2000回以上、企業のライブコマースを支援してきた実績と、その中で培われたノウハウがあります。こうした熟練の知識や技を活用したサポート体制を提供することで、ライブコマースを初めて導入する企業にも的確な支援が出来るということです。寺前さんは、そうしたライブコマースを新規導入する企業の相談に乗る中で、ある『成功するパターン』のようなものを発見したと話しています。

『ライブコマースを行う皆さんがライブコマースをやる上で最初にぶつかる壁は、1個売れるかどうかです。ゼロからイチを作ることができると、その先も見えてきます。』

ONPA JAPANにライブコマースの支援を依頼する多くの企業は、売り上げ100万円、視聴者数100人など大きな目標を掲げて、ライブコマース市場に参入してきます。しかし、まず目指すべきは、1つ商品を売ること。ライブコマースで商品を1つ売るという実績を作ることが、簡単なようで難しいのです。

『1つ売れると、商品がライブコマースで売れるのだとわかっていただけます。しかし、最初の1つが売れるタイミングが、最初のライブ配信なのか、2回目なのか、はたまた3回目以降になるのかはわかりません。僕らは4回、5回くらいで売れる実感はありますが、いつ「売れるか」というタイミングの予測は難しいです。』

ライブコマースで商品を1つ売ることの難しさについて、寺前さんはそう話しました。5回という数字は、口にすれば一瞬ですが、実際には大きな労力が伴います。1回のライブ配信の所要時間は、おおよそ30分から1時間程度。YouTubeのような編集作業はないですが、映像の配信機材・中継の設定、イベント内容の企画打合せなどの事前準備にも1時間以上かかります。いわば、1回のライブコマースに、それだけで2時間は時間を取られるということになります。また、実際にはリハーサルもあるため、より手間と時間がかかります。大変な労力をかけて実施したライブコマースを、数回試しても商品が1つも売れなければ、挫折してしまう企業が出てくるのも当然と言えるでしょう。これが、『ライブコマースで商品を1つ売ることが初心者にとっての壁』と言われる理由です。

『週1回のライブコマースを、最低3ヶ月は続ける。この覚悟がないなら、やらない方がいいですよ。』

そう話す寺前さんの言葉は厳しいように感じますが、これもライブコマースを使って商品販売に挑戦する企業に対して、必ず成功してほしいという熱い想いがあるからではないでしょうか。また、ライブコマースで1つ商品が売れる成功体験は、積極的に自身でプランニングしても良いと、寺前さんは語ります。

『まずライブコマースで1つ商品を売るためのプランニングとして、知らない人ではなく商品を好きでいてくれるファンの方、兄弟や親御さんなど、元々その商品を愛してる人に届けることも戦略の1つです。』

この商品を1つ売るという壁を超えた企業は、その後継続して成功する確率が高い傾向にあるそうです。理由は、成功体験を経て自信が付くから。その自信は、ライブコマースを継続するモチベーションになるでしょう。加えて商品が1つ売れると、それを見た他のライブ配信を視聴している方も商品に興味を持ち、購入してくれる可能性が高まります。すると次は2つ、3つと販売数を増やしていく、もしくは単価の高い商品を販売するといった目標も実現可能になります。そのため、ライブコマースでどれだけ早く商品を1つ売るかが、成功への分かれ道となるのです。

企業がライブコマースを続けていくためには

ライブコマースは、まず商品が1つ売れるかどうかが成功への分かれ道であり、売れるまで続ける忍耐力が大切だということが分かりました。まさに継続は力なりです。しかし、頭では理解していても、売れないことへの不安を感じて辞めたくなってしまうのが人間の真理というものでしょう。中には、どうしてもモチベーションを維持できなくなるケースもあるそうです。そんな時、寺前さんはこのようにアドバイスします。

『ライブ配信を続けるということ自体に価値があるんです。』

このようにアドバイスされた企業のライブコマース担当者の多くは、驚きを隠せないそうです。何故なら、ライブコマースの価値は『物を販売すること』にあると思っているからです。なぜ寺前さんは、ライブ配信を続けることに価値がある、とアドバイスしたのでしょうか?
寺前さんによると、ライブコマースやライブ配信で、商品を買おうと決めて視聴しているユーザーは少ないそうです。100人の視聴者がいたとしても、その内、商品を購入するために見ているのは10〜20人ほどだといいます。では残りの80〜90人の視聴者は、何を目的にライブ配信を視聴しているのでしょうか。その答えを、こう話してくれました。

『この人、面白いなと思うから見てくれるんです。ライブ配信の内容は、必ずしも商品の紹介でなくとも構いません。商品の魅力を語り、商品を好きだということを発信していくことが大切です。そうやってライブ配信を続けていると、再訪問者数が増えていきます。するとファンになる視聴者が現れ、商品も売れ始めます。』

つまり、とにかくライブ配信をして顔なじみの視聴者を増やし、固定ファンになってもらうことが、商品を購入してもらうために重要なこと。だからライブ配信を継続していくことが必要なのです。ここで気になるのは、本当にライブ配信の内容は商品の紹介でなくてもいいのか、という事です。その点について、寺前さんはこう語ります。

『ライブ配信を続けること自体に価値があるので、内容はなんでも構いません。例えば、今日はこんな服を着てます、というだけでもいい。コンテンツや構成については、しっかり考えなくてもいいです。また、尺も10分や20分でも構いません。』

ここまでハードルを下げた提案をされると、再びモチベーションが上がってくる企業のライブコマース担当者や現場スタッフも多いのではないでしょうか。加えて、この言葉の裏には、別のメッセージが隠されているようにも思えます。それは、もっとライブ配信、ライブコマース自体を気軽に楽しんでほしいというメッセージです。商品を売ることに固執していては、ライブ配信を見ている側も、配信する側も当然楽しくありません。ライブ配信の中で商品の話ばかりし続けるのは見ていても面白くないですよね。

そこで一度商品を売ることから離れ、リラックスしてライブ配信をするようにしてみませんか。力が抜け、カメラの前でもスムーズに話せるようになるでしょう。また、自分が楽しむことで、相手にもその雰囲気が伝わります。出演者が商品についてイキイキと話していれば、視聴者は興味を掻き立てられますし、購入意欲も増すのではないでしょうか。

企業がライブコマースを行ってファンを増やしていくためには

「ONPAMALL」では、どうすればファンが増えるかという視点から、出演者にアドバイスをしています。ライブ配信でファンを増やしていくためには出演者のキャラクター性が重要になると思われていますが、寺前さんはこう話します。

『ライブ配信でファンが多い出演者は千差万別です。いじられキャラの方、いじるキャラの方もいますし、色々なキャラクターの出演者がいます。』

ライブ配信でファンが増えるかどうかは出演者のキャラクター性だけで決まるものではない、ということですね。では、ONPA JAPANはライブ配信の出演者がファンを増やすために、どのようなアドバイスをしているのでしょうか。実は、ファンが増える出演者には共通しているポイントが2つあるのだといいます。それが、『清潔感があること』と『知識ではなく想いを語ること』です。

1.清潔感があること

寺前さんは、『実は、ライブ配信の視聴者が5秒程度で離脱してしまうケースがたくさんあります。この原因は清潔感です。見たときに清潔感がないと、この人の話は、聞きたくないなと思われてしまいます。』と話しました。まず初めにライブ配信の視聴者が注目するのは、出演者です。そのため、視聴者が第一印象で嫌悪感を感じないような見た目を心がけることが大切になります。実際に寺前さんは、ライブ配信でファンを増やすためなら、髪型のアドバイスもするのだそうです。

もう1つ、忘れられがちなのがライブ配信で映される背景の清潔感。ライブ配信では、カメラが撮影している場所の映像しか視聴者には見えません。いくら好きな出演者が出演しているにしろ背景が乱雑だったり汚かったりすれば、当然視聴者はそちらに気を取られて見る気を失ってしまいます。もし食品会社や健康に関する商品を扱っている会社がライブ配信をしているのならば、清潔感が商品の購買意欲と直結するため、なおさら気を遣う必要があるでしょう。ライブ配信者の見た目と視聴者が見る背景の清潔感を心掛けることが、ライブ配信でファンを増やす第一歩。簡単に改善できることでもあるため、費用対効果は高いと言えます。

2.ライブコマースは知識ではなく想いを語ること

『大切なのは、想いやストーリーを話すことです。』と寺前さんは話しました。

多くの出演者は何度も台本の流れに沿ってセリフを練習するなど、上手く話そうと努力します。また、いかに商品をスムーズに勧められるかということに、重きを置いている方も多いです。しかしこのような努力は、残念ながら視聴者の購買意欲を刺激するとは言えないでしょう。ライブコマースはテレビショッピングとは異なります。

ライブコマースを見る視聴者目線にたつと、素人にセリフをすらすらと読まれるだけでは何も心に響きませんし、面白味も感じません。また商品知識を知りたいならば、その記載のあるウェブページを閲覧した方が早いとも言えます。つまりライブコマースを見る視聴者は、出演者がその場でしか伝わらない『その商品が好きでみんなに知ってもらいたい』という主観的な想いや、商品に関するストーリーを聞きたいのでライブコマースに参加しているのです。また、寺前さんはこう話します。

『ライブコマースで出演者がどれだけ思い入れがあるのかを語れば、視聴者に必ず伝わると思います。』

この『想いを語る』というのは、フリートークでも商品を訴求する場面でも重要なこと。ライブコマースの基本は、人と人とのリアルタイムなコミュニケーションです。だからこそ、その場でしか聞けないような想いやストーリーを話すことが、視聴者の心に届くのではないでしょうか。

ONPAMALLの想いとライブコマース業界への期待

「ONPAMALL」が大きな躍進を遂げた背景に、ノウハウの積み重ねや徹底した企業への支援があることがわかりました。ならば、その原動力はどこからくるのでしょうか。寺前さんはこう話します。

『自社のシステムを使って欲しいからではなく、ライブコマースを通じて、未知との出会いを作りたいと思って働いています。』

視聴者がライブコマースを通して面白いと感じるのは、遠方の出演者とコミュニケーションを取ったり、知らなかった商品を見つけたりした時でしょう。このライブコマースだからこそ実現する面白さ、これこそが『未知との出会い』なのです。こうした未知との出会いを増やしていくために欠かせないのが、ライブコマース業界全体の発展です。ライブコマースの市場規模の拡大は、新規参入する企業の増加と直結しているとも言えます。しかし現実にはライブコマースへの参入をためらっている企業も多いそうです。

新規参入の課題を改善する道は、ライブコマースでビジネス的に成功した事例を増やすこと。だからこそ「ONPAMALL」は自社のノウハウを活かし、ライブコマースを行う企業への支援を行っているのです。今回お話を聞いた寺前さんは、終始、ライブコマースや企業への支援について楽しそうに語ってくれました。このように企業がライブコマースで成功するためにどうしたらいいのか、二人三脚で考え、作り上げようとする姿があるからこそライブコマースを行う企業も視聴者も楽しむことが出来るのです。そして、ライブコマース業界全体の発展を考え、企業と真摯に向き合う姿勢こそ多くの企業から信頼され、サポートを任される要因なのだとではないでしょうか。

最後に

多くの企業は自社サービスを使用してもらうことを目的としています。しかし「ONPAMALL」は、ライブコマースを通して企業と視聴者の出会いを作ることを最優先に考えており、その結果が「ONPAMALL」の発展、さらには、ライブコマース業界全体の発展にも繋がっているのです。

ONPA JAPANのインタビューシリーズはvol.3まであります。気になった方はぜひそちらも是非ご覧ください。

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株式会社ONPA JAPANを詳しく見る:https://onpa-japan.com/

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