目次
アメリカのライブコマース
ではまず、ライブコマースとは何かから解説します!
ライブコマースとは、オンライン販売とライブ配信を組み合わせた販売手法で、タレントやインフルエンサーなどの配信者がライブ形式で視聴者に商品を紹介しながら販売するサービス。
通常のオンライン販売では写真や商品説明文が中心ですが、ライブコマースは動画を活用することで多くの情報を伝えられることが最大のメリット。
実演販売のライブ配信動画では使用感を分かりやすく伝えられると同時に、視聴者はチャット画面を通じて配信者とリアルタイムでコミュニケーションが取れるため、商品に対する不明点をその場で解消することもできます。
双方向のコミュニケーションといった意味合いが強いため、トークや配信の雰囲気などがかなり重視される傾向があり、配信者の存在が商品の売れ行きを左右すると言っても過言ではありません。
こうした点が消費者から評価され、中国ではライブコマース市場は拡大の一途を辿っています。
半面アメリカでは、実は数年前からライブコマースに挑戦する小売店が増えてきていましたが、大きな成功事例は見られませんでした。
そんな状況は新型コロナウィルス感染症の影響で一変。
現在のアメリカのライブコマースビジネスについてお伝えしていきます。
そのまえに!!
中国のライブコマース
おさらいということで、まずはライブコマース大国中国のライブコマース市場規模について説明します。
中国国内では既にライブコマースを通じた買い物が定着しています。
販売側の主な目的は効果的な商品PRを行うことなので、一般消費者に影響力のあるインフルエンサーを多数起用しています。例えば化粧品やアニメなど特定分野の専門知識を持ったKOL(Key Opinion Leader)と呼ばれる人物や、インターネット上で口コミ発信力がある一般人KOC(Key Opinion Consumer)と呼ばれる人物です。
また、中国では高額な製作費用をかけてライブコマースを行うため、売上規模が大きいことも特徴。
そのため、中国のライブコマース市場規模は、2022年には約48兆になると中国メディアが推測しています。
全体の中で人気があるのはファッション、美容業界ですが、最近では食品の安全性を求める消費者が増えていることから食料品関連のライブコマースが急増しているようです。
出典:data.iimedhia.cn
アメリカのオンライン販売の動向について
変わって日経XTRENDの記事によれば、冒頭に述べたように現在米国のライブコマース市場も順調に伸びているようで、
”ドイツの調査会社のスタティスタによると、20年の60億ドルから21年には110億ドル(約1兆3000億円、21年末の1ドル=115円の場合)へと成長した。24年には350億ドルに達すると予測している。”と出ています。
同記事内で紹介されているように、ウォルマートなどの大手も本格的にインフルエンサーなどを投入してライブコマースに参戦している様子。ますます動向から目が離せません。
出典:https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/casestudy/00012/00886/
中国とアメリカのライブコマースビジネスの違い
中国のライブコマースとアメリカのライブコマースの大きな違いは、中国の人件費、配送料が比較的安い点です。
中国ではスマホが幅広い家庭に普及しており、前提としてインターネットを利用したオンライン販売が広がる環境が整っている状況でした。それによって価格競争が生まれ、人件費、配送料が安くなったと思われます。
一方、アメリカでは土地も広大なことから小さい商品一つを届けるにもそれなりの人件費と配送料が発生してしまうのでオンライン販売で利益を上げることは難しい環境にありました。しかし、コロナ禍のアメリカでも日本と同様オンライン販売の需要が急増しました。
そこで、小売のプラットフォームであるAmazonやWarlmartへの出店よりも利益率を優先し、自社のオンライン販売に注力する企業が増えて行きました。
アメリカのライブコマースサービス事例
1、AmazonLive
・毎日20件以上のライブが配信されている
・インフルエンサーを起用したライブ配信が多い
・配信できるのはAmazon登録者及びアメリカの店舗所持者
・ライブコマースの内容は多様性に富み、チャンネル数も多い
・有名人によるエンターテイメント性の高いストリーミング配信や、電子機器、家電を販売
なお、現在はアメリカ国内のみの展開となっており、日本ではまだ展開されていないサービスとなります。
出典:https://www.amazon.com/live
2、Walmart Shop Live
・月に1〜2回の頻度で、提携ブランドのライブコマースを配信
・オーガニックコットンやリサイクル素材を使った製品など400点以上をそろえ、Walmartで販売している商品の購入を促進
・ライブストリーミングの同時視聴者数は公開されていない
・Adobe Commerce、Akamai、 Cloudflareなど複数のCMS、CDN、データクラウドサービスを連携
・有名ブランド「GAP」のインテリア新ブランド「GAP Home」を独占ネット販売したことで話題となりました。(Walmart×GAP参照URL:https://forbesjapan.com/articles/detail/41747/2/1/1)
出典:https://www.walmartshoplive.com/
3、Betabrands
・2009年にサンフランシスコ拠点に創業したパンツやデニムが人気のブランド
・ホームページのトップにライブストリーミング機能がある
・毎日必ず一商品をライブ配信しており、全てのアーカイブ動画も視聴可能
・ライブ配信中のコミュニケーションを大事にしており、チャットのアクティブ率をKPIの一つに設定、オンライン投票も実施
・看板商品のパンツに関しては、視聴者からの反響をもとに商品を改善された新商品を販売
出典:https://www.betabrand.com/live
以上、今回はアメリカのライブコマースサービスについてお伝えしました。
アメリカではワクチン接種の普及が進んでいることから、景気回復ペースは一段と加速すると予測されています。
今後ライブコマースがどのように普及するか、中国とはまた違った展開を見せるのか、ウェビナビ運営も動向を追っていきたいと思います!
日本でも徐々に盛り上がりを見せているライブコマース、本記事を読んで興味を持っていただければ嬉しいです。